感想調査2007年秋

http://anime-research.seesaa.net/article/56597538.html
大幅に遅れてしまいました。なんだかんだいって、あれこれ気になるタイトルが多かったシーズンでした。みんな一気に終わって、ちょっと気が抜けました。

調査票

2007秋調査(2007/7-9月期、終了アニメ、55+2作品)

01,CODE-E,x
02,シグルイ,x
03,ぼくらの,D
04,ぽてまよ,x
05,ムシウタ,x
06,もえたん,B
07,モノノ怪,A
08,怪物王女,x
09,鉄子の旅,x
10,桃華月憚,x
11,CLAYMORE,F
12,らき☆すた,A
13,ラブ☆コン,x
14,鋼鉄三国志,x
15,瀬戸の花嫁,x
16,D.Gray-man,x
17,Over Drive,x
18,エル・カザド,x
19,精霊の守り人,x
20,Devil May Cry,x
21,ドージンワーク,x
22,大江戸ロケット,A
23,風のスティグマ,x
24,地球へ…(TV版),x
25,GR -GIANT ROBO-,x
26,かみちゃまかりん,x
27,さよなら絶望先生,B
28,ながされて藍蘭島,B
29,風の少女エミリー,x
30,トレジャーガウスト,x
31,はぴはぴクローバー,x
32,ヒロイック・エイジ,x
33,おおきく振りかぶって,S
34,ロミオ×ジュリエット,F
35,天元突破グレンラガン,x
36,ななついろ☆ドロップス,F
37,ハピ☆ラキ!ビックリマン,x
38,ぷるるんっ!しずくちゃん,x
39,史上最強の弟子 ケンイチ,x
40,REIDEENライディーン),x
41,スカルマン THE SKULLMAN,x
42,人造昆虫カブトボーグ VxV,x
43,ZOMBIE-LOAN ゾンビローン,x
44,キスダム -ENGAGE planet-,x
45,ゼロの使い魔 -双月の騎士-,F
46,BUZZER BEATER 2nd Quarter,x
47,0(ゼロ)・デュエルマスターズ,x
48,アイドルマスター XENOGLOSSIA,B
49,サルゲッチュ -オンエアー- 2nd,x
50,Darker than BLACK -黒の契約者-,x
51,ケンコー全裸系水泳部 ウミショー,x
52,魔法少女リリカルなのは StrikerS,C
53,東京魔人學園剣風帖 龍龍(トウ) 第弐幕,x
54,機神大戦 ギガンティック・フォーミュラ,x
55,スパイダーライダーズ -よみがえる太陽-(2期),x

(以下、注意)
56,コードギアス 反逆のルルーシュ(24,25話),x
57,コードギアス 反逆のルルーシュ(全25話),x
58,School Days スクールデイズ(11話まで),x
59,School Days スクールデイズ(全12話),x



{追加評価}(自由記入、過去参加者のみ)

{総評、寸評など}(自由記入、引用する場合あり)

「ぼくらの」

予告編が一番面白い映画、でした。OPは最高。CMもよかった。
特に原作が好きなわけでもないので、「こんな人間いないだろ」でチズ編を中心に大幅改変したのは面白いと思った。極端な設定や極端な思想を持ち込んで思考実験みたいなことしなくてもドラマは作れるし、その方が説得力があるんだという監督の意向は共感できる。でも、そもそも作品世界そのものが極端な設定で出来上がってるからなあ。木に竹を接いだような感じは拭いきれませんでした。結局全編通して取り乱したのって一人だけだったねえ。地球がなくなるかもしれない、とか誰も本気で心配してる人がいないんで、ドラマも盛り上がりようがなかった。その時その時のパイロット以外、大人も子供もみんな他人事みたいにしか見えなかった。国防軍とか政府とか、素人パイロットが負けないように訓練しようとか作戦考えようとかなんで誰も考えないの?後半の大量に持ち込んだオリジナル設定も安い悪役が自爆するだけで説得力ないし。地震原発が揺れたらどれだけの騒ぎになったかを考えれば、実際に何万人もの被害者を出してるジアースが将来的にペイするだろうなんてマスコミに発言して受け入れられるようなシーンはさすがにバカバカしすぎる。戦闘シーンも最初の頃は新鮮でカッコよかったけどどんどん単調などつき合いになってった。

もえたん

えちぃカットがいっぱいあって、お話はジャマにならないように適当に流れててくれれば、みたいな。ドラマなんて萌えとパロのツナギなんだから定番で十分、というコンセプトは言葉の本来の意味でのパロディだったのかもしれません。よくある魔法少女モノをおちょくった一発芸、というか。こういうのは評価に困るな。見てる間はえらい楽しいんだが、ファンとして熱く語りたいというものでもないし。15年くらいしてから、知る人ぞ知る幻の名作とか言って自慢げに語るのがきっと一番楽しい気がする。

モノノ怪

期待通りのビジュアルで1クール楽しめました。新奇な画面なだけに自己模倣に陥ると飽きられやすい気もしたけれど、エピソードごとにうまく雰囲気を変えて新鮮な驚きを保ってました。海坊主や化猫の画像表現も好きだったけど、なにか表現し得ないものを表現しようとした鵺がマイベストかなあ。モノクロの絵に色がつくことでお香の香りを表したり、アニメで匂いを表現しようという意欲的な演出がうまくはたらいてた。場面転換で襖を勢い良く閉めるのもそうだけど、話をしてるカットと誰もいないカットとを直接つないで立ち去るカットを省いてたり、ゆうるりとしたテンポで流れてた話がスッパリ断ち切られるという繰り返しが、なんかうつらうつらしてはハッと目が覚めてという感じで、幻の中で誑かされるような話にうまく合ってた。チャーリー・コーセイの歌もステキ。

らき☆すた

なにかと話題先行な感じもしたけど、終わってみるとシリーズとしてもまとまってるし、半年間楽しませてもらったいいアニメだった。ネタで引っ張りつつ、地道にほんとに細かい、キャラごとのなにげないエピソードを重ねて、最後にみんながまとまったところで一人々々のキャラが活きるとこまで掘り下げるのはやっぱ2クール必要だったんだなあ。
らき☆すたの話が面白くないのは、アイドルのコントがぬるいのと一緒なんだと思う。会話の断片を切り貼りして、ドラマとしての一貫性を消し去って代わりにねとらじのコーナー作ったりアニメ店長のパートはさんでみたりとバラエティ仕立てにしたのは、この30分枠を「アイドルを売り出すためのバラエティ」にしたかったんじゃないだろうか。アイドルヲタにアピールするようなアイドルの売り方を、アニメのキャラでやってみようとしてるんじゃないだろうか。一つ一つのコントネタがぬるくても、それぞれのキャラが出ていることの方が重要であって、むしろファンがキャラたちの日常生活に浸れるように邪魔なオチだのドラマツルギーだのは意識的に排除してるんじゃないだろうか。もちろんこなた達の日常生活というのは、スタッフによって作り上げられた虚構であり、演出されたものなんだけれど、本編はあたかもどこかに存在している自然なものであるかのように作為を隠すという意志に覆われているように思う。実写EDが投稿ビデオみたいなのも、演出を拒否したナマですというデモンストレーションなんじゃないか、とも思う。実際のところはとにかく座ってしゃべってるだけの画面が圧倒的に多いし、「らっきー☆ちゃんねる」なんか構図ほとんど固定でバストショットばっかりだし、ダレて平板にならないよう構図とかちょっとした動きとかかなり意識して演出してたと思うけど。

大江戸ロケット

声優ネタにようつべ、ニコ動と実は今期一番ネタに貪欲だったアニメ。
ギャグで話の展開をスピードアップさせてるけど、話の中身はシリアスなドラマ。とにかく脚本の密度が濃い。赤井という魅力的な悪役が光って主人公サイドが食われ気味だったのが惜しい。
時代劇だし、てっきりシンプルな勧善懲悪で遠山奉行もちょっとご都合主義的なヒーローかと思って見てたら、急に政治家の顔になって対外交渉における武力の意義を語りだして驚いた。そうだよ、お話ってのは、こうやって広げるもんなんだよ。キャラを掘り下げていくことで、当時の封建体制下での社会構造が浮かび上がったり、巨大技術の持つリスクが露になったりと大きな話につながっていく。それをもう一度登場人物のドラマに引き戻して話をまとめる。うまい構成だった。

さよなら絶望先生

新房演出爆発で、ネタアニメとして1クール突っ走った。ただ本編のネタが原作に比べるとどうしてもぬるいとか古いとか苦しい部分はあった。黒板ネタで補完してたとはいえ、読みづらかったし。でも二期目ってマジすか。

ながされて藍蘭島

やたら動きのいい回があったり、緩急のテンポが心地良かったり、見てて楽しかった。

おおきく振りかぶって

原作の面白さを損なわず、アニメならではの見せ方で存分に味わわせてくれました。今期唯一のS評価です。
ビビリの投手に強気な捕手という組合せ、高校生らしい身の丈に合ったキャラたち、そして試合では敵味方双方のていねいな心理描写で攻防をじっくり描いてドラマを盛り上げて、今期最も質の高いアニメでした。作画も安定してたし、ここぞというシーンでの演出、カット割りも効果的でした。応援団の曲だとか、音楽の使い方もうまかったよね。

アイドルマスター XENOGLOSSIA

千早とか雪歩とか、愛憎劇は面白かったしロボットのアクションはカッコよかった。とにかく盛り上げるとこ、キメるとこはさすが一日の長がある。でもモンデンキント本部とか、トゥリアビータとかの組織が何考えてんだかよくわからん。サンライズアニメの世界設定って、なんかいつもツッコミ所が気になるんだよなあ。別に穴があったっていいんだけどいまいちバランス悪いような。
それよりインベルと春香のペアに魅力を感じられなかったのが一番のネックかな。

魔法少女リリカルなのはStrikerS

1クールのシリーズの時は2クール見合いくらいの話を詰め込むし、2クールになったら今度は1年シリーズみたいな話を始める。困ったもんだ。ずっとテレビシリーズの劇場版総集編見せられてるみたいでした。演出の冴えたシーンとか見所もけっこう多かったんだけど、筋書きを追っかけてる感が最後まで消えなかった。各キャラのエピソードもそれなりにあったんだけどね。見たいシーンが削られて設定説明ばかり聞かされてたような。ヴィヴィオ主人公で次作れば、なのはサーガになるな。