黒田研二「カンニング少女」

カンニング少女 (文春文庫)

カンニング少女 (文春文庫)

三人の友人とチームを組んで、最難関大学の入試をカンニングで突破しようとする少女の話。少年少女を主人公にしてスパイ小説の頭脳戦が書きたくて、題材にカンニングを選んだんだろうなと思う。ただ、入試でカンニングとなると読者の反感をかいかねないし、それでおとなしくってちょっと気が弱いけれどまじめで芯が強い女の子を主人公にした胸キュン青春小説を書こうとするとちぐはぐになりかねない。ということで、「カンニング勝負」に持ち込む正当性を読者に納得させるべく作者は奮闘する。おかげでとても面白い小説になりました。それでもやっぱり、姉の不審な事故死の謎の手がかりを握る唯一の人物が大学の中で暮らしてるからってのはさすがに無理ありすぎだろ。ただそれを差し引いても、繰り出される数々のトリックから、最後の決着のさせ方まで気持ちよく楽しめました。