瀬名秀明「デカルトの密室」

デカルトの密室 (新潮文庫)

デカルトの密室 (新潮文庫)

やっぱり瀬名さんは男の子が好き。今度はロボットの人工知能が少年役。物語の力を信じた少年が世界を救うとか、「八月の博物館」の続きだね。「擬体エージェント」というネーミングのルーツは攻殻の「義体」から、だとか。ネット上に存在する意識体を扱ったフィクションは数あるけれど、ここまで掘り下げたSFはそうない、という意味で面白かった。
デカルトの密室」はデカルト的な近代自我のこと。梵我一如とか言ってるネット人格に実存主義で対抗するみたいな話。ポストモダン記号論とか出てこないのは、やっぱり科学者ってドゥルーズ=ガタリとかキライなの?
章によって話者が交替する一人称小説で、少年が語るときは描写もイキイキするんだけど、大人だと紋切り型でうざったくなる。半分狙ってる風でもあるんだけれど、読みにくいです。
わざわざ「盤の向こうにいるゲームの相手」に「ザ・プレイヤー・オン・ジ・アザー・サイド」とルビ振ってあるのは、エラリー・クイーンの「盤面の敵」The Player on the Other Sideを意識してるんだよね。読んでて思い出すのは「すべてがFになる」だけど。
「八月の博物館」の感想はお勉強小説 - ねこまくら読書日記 - bookグループ