パトリック・ロスファス「風の名前」

風の名前 1 (キングキラー・クロニクル第1部)

風の名前 1 (キングキラー・クロニクル第1部)

大森望が帯で絶賛してたので買ってみた。新人作家の思いっきり王道なハイファンタジー。街道の小さな宿屋「道の石亭」の主人が伝説の秘術士クォートの世を偲ぶ仮の姿であることを見破った紀伝家は、彼の「本当の物語」を記録することになる。三部作の第1部だけで文庫本5冊になるという長大な物語で、悠揚たる始まり方をゆっくり味わえる。
この1冊だけでは、世界の様子もよくわからない。文庫の最初に地図が載っているが、最初の舞台が田舎の小さな町だからか出てくる地名が地図上に見当たらないので、その地図のどの辺りで話が進行してるのかよくわからない。ただ日々の生活の様子や付近の風景など、異世界の雰囲気にたっぷりと浸ることができる。
クォートが回想する物語は少年時代から始まり、次巻以降では魔法学園での活躍だとか、さらに竜退治だとかファンタジーのあらゆる要素が登場してくるらしい。とにかく序盤で期待が膨らませることには成功してる。