木原敏江 「白妖の娘」

平安末期、信濃の国の山里にやってきた中津家の十鴇は、くせっ毛のせいでいじめられているのを、葛城直にかばわれたことから二人はなんとなく付き合うようになる。しかし十鴇は貴族の横暴によって父と姉を失ってしまい、古塚に封印されていた白妖の力を借りて復讐を企てる。白妖を封じた行者の子孫であった葛城直は、修験道の修行を積み、陰陽道で高名な安倍泰親の下で陰陽師となって白妖に取り憑かれた十鴇を救おうとする。2巻では玉藻前として参内した十鴇が貴族社会の中に取り入っていく一方で、白妖の妖力を使って父と姉の仇を罠にかけて殺す。
九尾の狐伝説を元ネタにした木原敏江得意のジャパネスクロマン。これまでは鬼に絡んだBLっぽい話が多かったけど、ラブコメのヒロインが似合いそうなカワイイ女の子を主人公にして、血みどろの復讐譚というのは新趣向。
しかし木原敏江はずっと変わらない。もちろん絵とか比べれば変わってるんだけれど、一貫してる。白妖の娘でもやっぱりフィリップ出てるし。
ちなみに元ネタでは、鳥羽上皇の寵姫であった玉藻前は安倍泰親の真言によって九尾の狐の本性を現し、逃げ出すも那須野が原で打ち果たされる。しかしその死体は殺生石となって今でも毒気を吐き続けている、というもの。