クリストファー・ナトール「女王陛下の航宙艦」

女王陛下の航宙艦 (ハヤカワ文庫SF)

「アーク・ロイヤル」はイギリス航宙軍初の戦闘航宙母艦ながら、時代遅れの老朽艦としてほぼ現役を退いていた。だが、辺境星域の植民惑星が謎の異星人戦闘艦の攻撃を受けて壊滅し、出撃した最新鋭艦の多国籍艦隊も撃破されてしまったとき、異星人戦闘艦の武器に唯一耐えられる頑丈な装甲を備えた艦船として、人類防衛の第一線に駆り出されることとなる。率いるのは70歳の老艦長。骨董品級のアーク・ロイヤルに厄介払いされていた呑んだくれだけれど、改修を重ねたクセの強い老朽艦であるアーク・ロイヤルを知り尽くしている。ということで、文化も思考も一切不明の敵性知性体と決死の宇宙戦闘を繰り広げるミリタリーSF。
星系間の移動は、「重力トラムライン」内の特定の座標から同じトラムライン内の別の座標へと瞬間的にジャンプすることで行う。星系内に存在するトラムラインによってジャンプできる先は決まっており、ジャンプした先のことはジャンプしてみないと分からない。
小規模な艦隊で敵の大艦隊に挑み、星系から星系へと手探りでジャンプしながら逃げ回るとか、ジャック・キャンベルの「彷徨える艦隊」を思い出す。でもアルコールの誘惑と戦いながら大胆な作戦で逆襲するアーク・ロイヤルの楼艦長の方が、なんだか愚痴っぽかった「彷徨える艦隊」の悩めるヒーローよりは好みだ。
実はシリーズ物の第１作ということで、一応話はひと段落つくものの、謎はほとんど謎のまま終わってる。これちゃんと続きも翻訳してくれるのかな。
マイク・シェパード「新任少尉、出撃！」海軍士官クリス・ロングナイフ - ねこまくら
ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊」 - ねこまくら
ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊５ 戦艦リレントレス」 - ねこまくら

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)