キングスマン:ゴールデン・サークル

新春公開された「キングスマン」続編。けっこうエログロありな、娯楽活劇。いきなりキングスマンの本部がミサイル攻撃を受けて全滅してしまうので、生き残ったエグジーとマーリンはアメリカの姉妹機関であるステーツマンを頼ることにする。
宣伝見て英国紳士とカウボーイの文化摩擦みたいなネタを期待したんだけど、そういうのじゃなかった。というか、ステーツマンが全体に影が薄い。なぜか自分自身の役で登場してたエルトン・ジョンに負けてた。冒頭のロンドンタクシーを使っためまぐるしいアクションとか、敵基地に切り込んでく流れるようなアクションとか、見所はけっこう予告編で流れちゃってますね。
今回の敵は全世界の麻薬をほとんど一手に握っているイカれたオバさんで、カンボジアの山の中にアメリカングラフィティ・リスペクトな町を作って住んでる。地獄の黙示録のパロディ?そこにエルトン・ジョンを攫って来て、コンサートとかさせてる。わけわからん。マーサ・スチュワートみたいなオバさんが人肉ハンバーグとか嬉しそうに作ってるあたりがアメリカディスってるんだろう。
そのオバさんが、自分の商品である麻薬に致死性のウィルスを仕込んで、バラまく。自分の客を人質にとって世界を脅迫するという、妙なことを始める。このウィルスに感染すると顔に青い筋が浮き出てくるので、麻薬を使用したかどうかが一目でわかるようになるという、むしろ麻薬撲滅キャンペーンじゃないかというような代物だから、脅迫が成功したってもう麻薬売れなくなるんじゃね?マジで考えると、違法な薬物使用者の人権とか、テロリストとの交渉とか、論点は山盛りなんだけど、映画は麻薬常習者が一掃できると喜ぶ大統領という極論で片付けて、アクションシーンに突っ込んでいく。
なんかメッセージ性を深読みした挙句に脚本が破綻してる、と叩いてるレビューとか読んだけど、それは深読みが無理筋だというだけだと思う。そもそもキングスマンにしろステーツマンにしろ、独立系の諜報組織というよくわかんない存在で、国家的支援でもなければありえないような装備と活動をしてるけれど、そういう現実的なつじつま合わせがヒーロー物を暗くするんだという思い切りでネグってるんじゃないだろうか。テーマはやっぱり、火力よりも体術とアイデアで見せる、畳み掛ける派手なアクションでしょ。まあこれを「スパイ」映画と言っていいのか、という疑問は残るわけだけれども、