王谷晶「完璧じゃない、あたしたち」

完璧じゃない、あたしたち

完璧じゃない、あたしたち

ちょっとポップな表紙が目を引く、女と女の間の様々な関係を描いた短編小説集。百合っぽい話が多いけど、それだけじゃない。ちょっとした友情や敬意からドロドロした愛憎、SFもあればサイコ、ホラー、アクション、しんみりするイイ話もあればゾンビもある。なかなかのバリエーションです。一人称の選択に悩む、冒頭の中二病こじらせっぽい話の次はなんかクトゥルーっぽいヘンな話で、なんじゃこりゃと思ってると3番目の「ばばあ日傘」で技をかけられて、そのままグイグイと取り込まれてく感じ。1本1本は短くて、緩急を得た語口に乗せられてスイスイ読んでしまう。
女同士の三角関係「しずか・シグナル・シルエット」から「姉妹たちの庭」「十本目の生娘」「だからその速度は」「陸のない海」と続く取り合わせは短編集の醍醐味という感じ。「戯曲 グロい十人の女」「ヤリマン名人伝」とかも好き。