- 作者: 高田大介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/04/15
- メディア: 文庫
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マツリカは論理的で頭脳明晰、古今の書物を繙き数多の言語に通じ、一ノ谷の内政に隠然たる影響力を持つ、強気な少女。政敵を相手に情報戦を繰り広げる一方で、キリヒトとイチャイチャしてます。繋いだ手の中の指の動きで意思疎通する手話ならぬ指話をキリヒトと開発したり、一緒に秘密の遺跡探検したり。しかし一ノ谷の覇権に挑戦するニザマ帝国の暗躍により、海峡情勢は風雲急を告げようとしていた。
異世界ファンタジーですが、魔法も妖精も怪物も一切出てきません。情報戦を制し、交渉で状況を覆すという政治小説です。僅かな情報から情勢を的確に分析し、微かな違和感から陰謀を暴くというミステリでもあります。ニザマ帝国の刺客との攻防とか、サスペンスの盛り上がりもたっぷり。
荘重な文体の風格は最近では貴重です。ギリシャやトルコの北に中国があるような、いわゆる中世ヨーロッパ風とは一味違う世界観も刺激的です。全4巻。その後の世界を少し舞台を変えて描いた続編も出ています。国際政治の中心の話から、一転して大国に翻弄される小国の、しかも社会の最底辺の話になるので戸惑いますが、最後には図書館の面々が登場するのでご安心ください。
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