ツカサ「明日の世界で星は煌めく」

街中に屍人が溢れ、終わってしまった世界で、”魔術師”南戸由貴が親友の榊帆乃夏の姉を探して冒険する話。ずっといじめられて孤立していた女子高生の南戸由貴は、父親の遺した”魔術”によって、屍人だらけになってしまった街でただ一人生き残っていた。ずっと自分以外は敵だと思っていた由貴にとって、屍人の世界でのサバイバルは、倒す相手がクリアになった状況で魔術という武器を得て、むしろ救われたように思っていた。そんな時、屍人に囲まれた女子高生を見つけ、成り行きで助け出した。それが榊帆乃夏だった。帆乃夏は屍人に襲われた時に生き別れになった姉を探して神奈川へと向かう途中だという。由貴は、一緒に探しに行くことを決意する。
子供の頃からずっとキツい状況をサバイバルしてきた由貴のメンタルの強さが物語を引っ張っていくのが小気味良い。
由貴の魔術は、杖で触れた物を自在に操るというもので、岩や瓦礫を宙に浮かべて、加速してぶつけるとか、空気を操ることで、風で火を操って燃やし尽くすとか、何かマックスウェルの悪魔的な、物理法則に従うけどエントロピーだけは無視、という感じ。屍人を防ぐ結界とか、巨大化する使い魔とかは分からん。
読後の感想は、「裏世界ピクニック」を強く想起させる。なんか拗らせてる主人公と、美人でなんでも出来て銃器を振り回す相棒とのバディものだし、その美人の彼女が崇拝している女性を探してるという構図も共通してる。なんか探してる彼女がラスボスっぽい雰囲気なのも似てるし。なんか冒険百合の一つのジャンルになるのかも。とりあえず裏世界ピクニックが好きな人にはオススメ。