すずめの戸締まり

新海誠の2022年新作映画。まあ面白かった。以下ネタバレ有り。

思った以上に震災映画だった。
開いてしまった後ろ戸から出てくるミミズが地震を起こす前に戸締まりするために、九州から四国を通って神戸、東京、そして東北へと旅して行くロードムービー
「久しく拝領仕ったこの山河」を神に「お返し申す」と言って、戸締まりして回る。ミミズの出てくる後ろ戸は人の住まなくなった廃墟にあるわけで、そこを神に返していく、と言うのはいわば「逆もののけ姫」。すずめはがむしゃらに突っ走っていくけど、使わない部屋を戸締まりして空き部屋が増えていくような、人間のエネルギッシュな生命力とは反対の老いや衰退が背景にあるような感じ。天気の子」では東京水没させたけど、滅びゆく、というか衰退して行く「くに」という背景が感じられた。
がむしゃらに突っ走ってくすずめの行動力に引っ張られるスピーディな展開敗因だけど、すずめに振り回される周囲は堪らんと思う。環さんの同僚のヒゲ男が運転役で付いてくのかと思ったけど、そうはならないで東京のチャラっぽい兄ちゃんが出てくる。エピローグで環さんをめぐる三角関係みたいなのを見せれば膨らみになったと思うんだけど、そういうことはしないのね。
要石のダイジンが、人が大勢死ぬとか嬉しそうに言う一方ですずめを助けたりするの、神の二面性とか計り知れなさみたいな表現かもしれないけど、伝わりにくい感じ。