エグランティーヌもアドルフィーネもグレーティアも、自己の欲望に忠実に暴走するローゼマインをきっかけに、自分の運命を自分で決めるための選択をします。女性たちの選択がフィーチャーされてますが、でもそれは女性だけの問題では無いですよね。アドルフィーネがオルトヴィーンに忠告するように、自分の運命を自分で選択するためには誰であれ流されずに戦う必要があるのですから。フェルディナンドも、自分の望む人生を選び取ろうと決意したのはやはりローゼマインがきっかけでしたし。
PTSDで魔石恐怖症になったり、女神降臨の後遺症で記憶が欠落したり魔力が制御できなくなって死にかけたりとローゼマインはどんどん大変になっていきますが、フェルディナンドがヒロインの危機に必死に奔走するヒーローを全力でこなしてます。今回も書き下ろし部分が多いですね。プロローグでフェルディナンド視点から、CD特典SS ではジルヴェスターとの会話を通して今後の方針が語られ、懸念材料と対応の目論みが明かされます。アドルフィーネ視点のSSだとみんなローゼマインの女神パワーとフェルディナンドの魔王っぷりにビビってますから、神々の介入がなければ完全に作戦勝ちだったんですけどね。エグランティーヌ視点のエピソードでは、ツェントとなる彼女の決意が示されます。始まりの庭でのフェルディナンドとメスティオノーラとの交渉がエグランティーヌ視点で語られることで、フェルディナンドの暴走っぷりがわかりやすくなってます。
しかしヒルデブラント王子は救われなさという点では一番かわいそう。騙されて大罪を犯した点ではレティーツィアも同じなんだけれども、彼女はローゼマインの裁量でまだなんとかなるのに対し、ヒルデブラントは王族だし、何より一旦手にしたシュタープはどうにもならないですからね。しかもその動悸がローゼマインへのほのかな恋心というのがまた切ないですね。レティーツィアとの婚約がそのままなら、結婚すればローゼマインは義母になるけど、それはどうなんだろうと思ってしまいます。レティーツィアはいい子だし、二人で幸せになれる道はありそうですけれど。
いよいよ次で完結ですが、小説で全33巻はそれなりの長さです。まあグイン・サーガには負けますが。とりあえず複数作者が書き継いでるペリー・ローダンとかは除いて、単一作者の小説で長さのランキング的にはどのへんになるんだろう。最近のラノベのシリーズはどれも長い傾向にあるので、30冊以上とかはザラにある気もします。「とある」シリーズとか50冊以上あるし。ちなみにギネス的には世界一長い小説は、単一作者で完結済みという条件で、マルセル・プルースト「失われた時を求めて」フランス原原書で三千ページ、960万9千字、日本語版は原稿用紙1万枚だそうです。山岡荘八「徳川家康」は1万7千400枚だそうなので、日本語版だとこっちが長いですね。本好きのWEB版は約570万字とどこかに書いてあったんですが、それだと14,250枚相当で家康には届かない。ただ書籍版は大幅加筆されてるのでどうなるか。マドレーヌ・ド・スキュデリーが、ジョルジュ・ド・スキュデリー名義で発表した「ル・グラン・シリュス」という17世紀フランスの大長編小説が2百万ワードで、「失われた時を求めて」よりさらに長いらしいんですが、かたや文字数とページ数、かたや単語数と単位が違いますし日本語訳も無いのでよくわかりません。
香月美夜「本好きの下剋上」第五部女神の化身I - ねこまくら1
香月美夜「本好きの下剋上」第五部女神の化身ll - ねこまくら2
香月美夜「本好きの下剋上」第五部女神の化身lll - ねこまくら3
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【小説26巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身V」 (TOブックスラノベ)5
【小説27巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身VI」 (TOブックスラノベ)6
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