マリア様がみてる

マリみて世界を決定付けているのは当然スール制度なんだけれども、なんでこれがスゴイのかというと、「制度」だからだ。
第一に、スール制度は「薔薇さま→薔薇のつぼみ→薔薇のつぼみの妹」という世代交代が前提になってる。マリみて世界は永劫回帰ではない。時間が流れ、3年生は卒業して新1年生が入学してくる。しかもそれは昔から続いていて、姉妹の契りを結ぶ学生たちの親もまた同じリリアン学園でスール制度の下、姉妹の契りを結んでいたのだ。マリみて世界は学園内で閉じていない。
第二に、伝統ある制度であるということで正統性をあらかじめ獲得している。つまり「女同士でいちゃついてる」ということへの後ろめたさから完全に逃れている。二人の関係がエロティックなものであることを全面的に肯定している。逆に、スール制に疑問を投げかけること、禁欲的な倫理を持ち込むことはマリみて世界にとっては絶対の禁忌となる。

エロティックな欲望に関する後ろめたさから自由な世界を理想郷として提出したのが「マリア様がみてる」なんだ。
ただ、そうなると祥子さまの男ぎらいの原因となった男親の系譜ってのがマリみて世界の暗部ということになるなあ。