債券格付け

格付けは本来、デフォルト確率に基づくratingなんだけれど、日本ではむしろrankingー文字通り会社の「格」を判断するような使われ方をしてたりする。
格付けというものは、格付け機関によれば、国が変わり市場が変わっても、同じ格付けならばデフォルト確率は同じというもののはずで、それがなぜか日本の社債はデフォルト確率が低い。日本の特殊性とか、まあそういう説明で流してきたんだけれど、いつまでもそんなことばかり言ってもいられない。クレジットデリバティブの評価(valuation)とか、債券ポートのクレジット管理などで、デフォルト確率の数字そのものに対するニーズも増えているわけで、このままでは格付けがrankingにしかならなくなる。
S&Pが日商岩井で、会社格付けBに対して社債BB-と、2ノッチも差をつけたのはそのあたりの危機感あってのことでしょう。プレスリリースによれば。日本ではメインバンクの債権放棄などにより公募債のデフォルトが回避される可能性があることを格付けに反映させたということです。つまり、銀行貸し付けは事実上劣後債権だというとこまで踏み込んじゃってる。
それで毀損した銀行資本は、公的資金の注入によって補填される。暗黙の政府保証というやつですね。日本では信用リスクが社会化されているということが市場に組み込まれていることを、理屈として認めないわけにはいかなくなったんですね。