- 作者: 打海文三
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
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恋愛が他者へのロマンティックな思い込みであるように、本作も恋愛小説としてあらゆる一方的な思い込みが描写される。それは淫夢だったり通りすがりの女性へのエロティックな想像であったり、あるいは実在の人物をモデルにした創作であったり、不在となった少年の母親を中心としてさまざまな対象へのさまざまなレベルでの思い込みが交錯する。
受け手のない一方的な感傷であり続けることは必然的に挫折することで、罠として完成する。