「ぼくらの」 #5 弱さ

荒唐無稽な設定をひとつ作って、そこにキャラクターを放り込んでどう動くかみてみる。あるいは、現実社会にあてはめてみて、社会がどう変わるか、どういう影響が出るのか考えてみる。「外挿」とか言われる物語の手法です。外挿されるのは例えば「デスノート」なら名前を書けば人が殺せるノートだし、「ぼくらの」ならば人の命で動くロボットだ。荒唐無稽な設定を、どこまで本気でシミュレートできるかで面白くなるかどうかが決まる。
軍隊が出てきて、物語が仕掛けた不条理に対する、子供たちとは別の視点が示されてふくらみがでてきました。
死を前にした人間、というテーマはいくらでも深くなるんだけれど、同時にこれまで無数の表現なり考察なりがされてきたテーマでもあって、手垢にまみれた素材でもある。「ぼくらの」の表現が浅いとは思わないんだけれど、なんだかキャラの個性でバリエーションを取り揃えてみましたといった感じのあざとさがどうにも気になる。