大江戸ロケット #25 匠の仕事が月に哭いて…

遠山さまって怖い人だったのね。高いはしご段を駆け上がって自ら銀次郎に斬り掛かる鳥居は意外と武闘派。
月ロケットが対艦ミサイルになり、大陸間弾道弾になる。プラネテスとか思い出しますね。月ロケットの父であるフォン・ブラウンナチスドイツで世界初の弾道ミサイルV2号を開発した科学者でもあった、とか。
改革に息詰まった水野忠邦が、失地回復の妙策を鳥居、遠山双方に献策させて、鳥居が花火による対艦ミサイル、遠山が花火で米ロを直接攻撃するICBMを提案していた。鳥居の策は銀次の妨害もあって失敗。そして清吉のロケット打ち上げが翌日に迫る。ロケットが成功すれば、弾道ミサイルの計画が正式に推進されることになる。ご隠居は中止を勧告するが、清吉は納得できない。一方、身を潜めていた赤井は、水野老中の側近くに使える元黒衣衆マナコの正体が青い獣と見抜き、立ち会いの機会をうかがう。老中の屋敷でバトルとなったところで、次週に続く。
弾道ミサイルによる抑止効果という戦略的発想が時代的にさすがに飛躍しすぎか、と思ったけれど、もともとは青い獣の発案なのか?青い獣のアイデアを水野が鳥居と遠山に振り分けてそれぞれ実験させたってことか。見ててちょっとわかりづらい。おお、ちょっと検索してみたら、クラウゼヴィッツって同時代人なのね。鳥居より16歳年上なんだ。まあアメリカまで届いたとしても命中精度までは期待できないだろうけどね。戦略的な価値として、北朝鮮の核と比べてどうなんだろ。
時代劇だし、てっきりシンプルな勧善懲悪で遠山奉行もちょっとご都合主義的なヒーローかと思って見てたら、急に政治家の顔になって対外交渉における武力の意義を語りだして驚いた。そうだよ、お話ってのは、こうやって広げるもんなんだよ。とってつけた世界設定が浮き上がっちゃってるアイマスアニメとか「やくざの」とか、監督は大江戸ロケット100回見ろと。
清吉は「みんなのためになりたい」と自分の仕事に意義を見出そうとするが、むしろその仕事は世界を変えてしまいかねないほどの重大な意義を含んでいる。それは世界をグランドデザインする誰かに利用されるということでもある。一方で大工のおやじは自己満足のなにが悪い、と発射直後に燃え尽きてしまうロケットの一段目に豪快な昇り竜を彫っている。はたして清吉の選択は、ということで次回最終回。後半影の薄い主人公だったけど、最後は江戸職人の物語として盛り上げてキメるのかな。