ef - a tale of memories. #11 ever forever

千尋は世界を捨てるために崖から身を投げる必要はない。日記のページを破り捨てるだけでいい。完成した一編の小説を残して、千尋は蓮治のいる世界を消す。
千尋は二つのイメージで描かれる。一人だけの世界に生きる神、鎖に繋がれた羊。草を根まで食べてしまう羊は鎖の長さぶんの範囲の草を食べ尽くしてしまうと、あとは飢えて死んでしまうと千尋は言う。けれども千尋は、日記の記録という種を蒔くことで少しずつ食いつないできたのではなかったか。むしろ千尋が怖れるのは、日々積み重なっていく記憶の記述を全て受け止めて一日限りの生を生きて、そして全てを明日の自分に託すという繰り返しに物理的に耐えられなくなっていくことではないのか。感情の機微の全てを何度も思い返して記憶に刻もうとする試みは破綻した。毎朝4年分の日記を読み返すのも相当無理があるのではないのだろうか。日々長くなっていく日記を読み返すのも、やがて破綻するのではないのだろうか。千尋には、日常の膨大な記述の代わりになる象徴的な小説が必要だったのではないか。
精密な自分だけの世界を築き上げては壊し、小さな結晶を残す。千尋はそれを繰り返して生きているのではないか。

学校の屋上に出るカギって、ヒロくんが持ってたやつだよね。なんで火村さんが持ってるんだ。実は景パートと千尋パートは時間軸がずれてて、火村さんは後のヒロくんとか?さすがに無理があるか。
ただ、千尋と景が直接会うシーンがないのは、なんか叙述トリックな仕掛けっぽい気がする。