BSマンガ夜話 高橋留美子「犬夜叉」/志村貴子「青い花」

犬夜叉は、ドラゴンボールから少年マンガの王道を吸収して自家薬籠中のものとした大長編。長さでもDBとタメ張ってるなあ。高橋留美子の本質は説話の語りにあって、越後作家おそるべし、という話になってました。
青い花は、冒頭から夏目さんがわかりません宣言。思春期の少女の内面に直接寄り添ったマンガなので、どうしても「男の読み方」「女の読み方」という話になってしまう。
少女マンガ的な文法に対するリテラシーはずいぶん底上げがされてきて、これはかなりハードルの高い作品であるとはいえ、そうした面での「読みにくさ」は気にはならない。ただ、少女たちだけのキレイで純粋なファンタジーなんだけど、感情は妙に生々しくドロドロしている。そのためバランスの取り方がよくわからず、読んでいて落ち着かない。ふみちゃんの、かなりうっとおしいぐじぐじした内面を描いていたら普通はもっと重たい話になるだろうと思うんだが、そうでもない。こうした鬱屈は大島弓子「雨の音がきこえる」とかにも通じるかなあ。あれもちょっと苦手だった。