幸村誠「ヴィンランド・サガ」

ヴァイキングが暴れまわっていた11世紀初頭の北ヨーロッパを舞台に、トールズの子トルフィンの遍歴を描いている。トールズはかつてヨーム戦士団の大隊長を務め、戦鬼と恐れられていたが、ある日を境に剣を捨て、アイスランドで家族と平和に暮らしていた。しかしヨーム戦士団内部の陰謀に巻き込まれ、殺されてしまう。父の復讐を誓うトルフィンは傭兵団に身を投じ、戦士として頭角を現していくが、デンマーク王のイギリス征服戦争に参加したトルフィンは、やがて目的を見失い、混乱していく。奴隷に身を落としたトルフィンは、困難な開墾作業の日々の中で生き方を見直し、戦争も奴隷もない理想の国「ヴィンランド」建国の志を固めることになる。
まずは資金稼ぎにギリシャに行くという話になったけれど、まだ北海周辺で戦乱に巻き込まれて右往左往してます。いかつい大男が段平振り回してあっちでもこっちでも殺し合いしてる、野蛮な時代です。とにかく戦争したい人たちが大勢出てきますが、富だの名誉だののために戦争したがる人よりも、強いやつと戦えるなら理由はなんでもいいという「純粋」な人の方がイイ奴に見えてくるのが不思議です。主人公のトルフィンが、陰惨な殺人鬼だったり、おとなしくなったら妙に内省的になったりで話を重くしがちなので、カラッと陽気な性格で状況を引っ掻き回して話を進めてくれるポジションにくるキャラが美味しいということでしょうか。
旅の道連れになったのがグズリーリという、冒険に憧れて花婿を刺して飛び出してきたという無茶な花嫁ですが、こういうヘンな女のキャラが上手いね。