読書

バカの壁養老孟司(新潮親書)ISBN4-10-610003-7
なんか目次というかエッセイの要約を読まされてるようで、浅いというか、フツーにじいさんの説教聞いてるような気が。口述筆記だというし、なんかソースは、とかいろいろツッコミたくなった。65ページのケニアの歌のエピソードとか。
瑣末なツッコミでは、89ページ

考古学の手法というのは、ここでは、教団の出版物やオウムについての本、新聞、雑誌の記事だけをもとに対象を分析していく、というやり方です。

そうか?考古学は縄文人の書いた記録を分析するのか?文献学ではないのか?
オウムの問題が身体性の欠如とリンクしてるという指摘には異論がないけれど、そっから都市化や軍隊の話が出てくるのは、思いつきでしゃべってる感じ。
日本の共同体と身体性については「日本という身体」加藤典洋講談社選書メチエ)ISBN4-06-258010-1の視点が面白い。
日本人の身体運動が西洋式の軍事教練と噛み合なかったという話もどっかにあったんだがソースが見つからない。橋本治とかだったかなあ。
で、養老氏は合理化を批判し、一元論を批判するけれど、最後に辿り着くのが「人間であればこうだろう」という普遍性です。話したって分からない、から始まってぐるっと回って「話せば分かる」的了解に戻ってしまってる。なんだかそれっぽいエピソードを順番に並べてあるけど、ロジカルなつながりが弱くて、雰囲気で丸め込もうとしてるような感じでした。
でも、76ページの、日本語の格助詞「は」「が」の使い分けが冠詞a, theの使い分けに相当する、という話は60へぇ。