マンガ夜話

杉浦茂「少年西遊記」 with みなもと太郎
みんなで、あそこが好きここが好きと言い合う幸福な1時間。
真田十勇士だの児雷也だの、連綿と続いていた大衆芸能というか、娯楽のための基礎教養が1970年代くらいでガラっと変わっちゃうんですよね。生き残ったのが水戸黄門くらい?今の若い人のイメージがどうなってるかよくわからないんだけれども、定番ネタとしてパターンは知っててもオリジナルは知らないとか。あるいは忠臣蔵は知ってても、お軽勘平なんて知らないとか。それまで「知ってて当然」という前提の上で成り立っていた大衆芸能の、その前提の知識が消えてっちゃう。低俗な娯楽が、特殊な教養を必要とする高尚な趣味になっちゃう。それで消えてっちゃった。
しかしながらそれとは逆に、戦争と戦後の混乱で世代ごとに経験が違ってた時代から、親子が同じ経験を重ねられるようになってきたことで伝統と言うと大げさかもしれないけど、歴史が重なっていく実感というのもある。ぶっちゃけ、ガンダムのファンが親になって、子供もガンダム見てますとかそういう話だけれど。親が、かつて自分が子供だったときの経験を、今の自分の子供にうまくつなげられるというのが、文化の厚みをつくってくんだと思うんで。