GUNSLINGER GIRL

ISBN4-8402-2237-1
ISBN4-8402-2421-8
あるはずのものがない/ないはずのものがある
義体と呼ばれる少女たちは自身の肉体の大部分を失い、記憶を失い、「条件付け」とよばれる薬物使用の洗脳で公社への忠誠心を植え付けられている。クラエスが「私が決めるの」と決然として言うとき、その「私」は何度も上書きされた記憶と条件付けによってプログラムされた意思によって成立している。無邪気な顔をした少女たちの自我は偽りの記憶と他人の意思からなる偽りの自分。しかし、少女たちが偽りの兄ーフラテッロに向ける愛情はプログラムの制御を超えて暴走する。クラエスの精神を破壊し、エルザを殺す。「全て条件付けで決めてくれたら楽なのに」とつぶやくトリエラは、与えられたものではない正体不明の情動を、どう扱っていいかわからずに途方にくれている。
人間的な一切が否定された世界で抱え込んでしまった、「愛情」とは名付けようもない、しかし強い指向性と支配力をもった感情をもてあましている男と少女の話。