GUNSLINGER GIRL

しつこく、続き
アンジェリカの記憶は、単に失われていく。周囲の大人たちにとって過去は記憶として降り積もり、たしかに時間は流れているけれども、彼女にとって過去は意味をもたない。比較対象とする過去がないならば、未来においてなにかが「変化」したとしても、そもそもわかりはしない。アンジェリカにとって、時間は凍りついたまま流れることがない。
義体は赤い血を流しても、痛みはすぐに消えてしまう。味覚も鈍くなり、戦闘目的のための機能だけが強化されていく。リコにとって、感情は機能だ。もし機械に感情があったなら、その全ての部品が設計された意図に従って機能していることに喜びを感じるのではないか。痛みや、味覚や、そうした感覚を失ったリコにとって自分はまさに機械だ。痛みを感じ、あるいは心地よさを感じるといった身体的感覚を失ったリコにとって、機能だけが唯一の関心となる。道具として十全に機能していることが快楽なのだ。