ファンタジックチルドレン 終焉 そして始まり

遠い星の世界で生き別れた二人が500年の後に再び出会うところで終わります。こういうキッチリ仕上がった大きな物語を見るのはなんだか本当に久しぶりな気がします。
真っ暗な海とほのかに光る水平線。ゾーンとこの世のはざまの渚の不思議な雰囲気はトーマとセス、ティナとヘルガ、前世と今を自然に重ね合わせます。
「やり直しはもうきかないんだぞ」とヒースマを怒鳴るトーマ、ヘルガを殺さないでとデュマに向かって叫ぶソレト、そしてトーマになって生きてとセスに訴えるヘルガ。メッセージが繰り返され、現世を生きる意思が強調されます。時の止まってしまった前世の想いとは、宙に浮いたままの観念です。記憶の結晶を頼りに何度も転生を繰り返すことは、時の流れることを拒否し、一度手にした観念を失うまいと頑に握りしめたまま立ち尽くすことです。時が流れるその先にこそ、求めるものがあるというのに。
転生を止め、前世が失われるに任せてこの世界で生きていくことを決めて、ベフォールの子供たちは去っていきます。アニメは10年後の約束された出会いを描いた後、物語を遡って最初に戻って終わります。ブラボー。
デュマはティナの身体を持ち出してどうしたんでしょう。庭園を彼女のお墓にするということなのかな。自分は時を止めるとか言ってるし、ちゃんとギリシアに帰るんでしょうか、心配です。
巨人の親父が死んだらあとはみんな悲劇の人になっちゃったけど、少なくともゲルタはゲド機関を率いて重ねた人体実験の落とし前はつけてないよな、とか思った。