先日、旧い友人が亡くなった。
もう永く会っていなかったのだが、連絡をもらって通夜に参列した。その席で、遺された彼の一人息子に会うことができた。学生時代の彼はむしろ小柄であったが、ずいぶんと大柄な息子であった。しかし、その話す喋り方を聞いて驚いた。短い時間の会話であったが、言葉の選び方から声のトーン、会話の運び方、およそ彼に生き写しなのだ。最近のことは知らないのだが察するにその人なつこい口調にどこか尊大さをにおわせる独特の話し振りは学生時代からずっと、生涯変わらなかったのだろう。最初似ているとも思わなかった顔も、いつしか面影を宿して見えてくる。親しく付きあい、最後はひどい喧嘩で別れた彼が生まれ変わって当時の姿で、白髪の混じるようになった私の前に立っていた。子孫を残す、とはこういうことなのかと理解した。