仁木英之の日本ファンタジーノベル大賞受賞作。なんか釘宮理恵＆日野聡でJ.C.STAFFがアニメ化するしかないような。
儒家の怪力乱神を語らない世俗主義と、芥川版杜子春のエピソードで語られる近代的ヒューマニズムに挟撃される仙人の立ち位置がどうにもよくわからない。仙人の僕僕先生が普通の人と変わってるといっても、仙術が使えるというくらいで、キャラとしてはハルヒが変人だという程度の変人にすぎない。別に道教の解釈を読みたいわけではないけれど、ラブコメの衣装というくらいの扱いだと、ちょっと物足りない。中国史の解説が本筋に絡んでくるまでに至らず、蘊蓄に留まってるのはそれはそれで面白いからいいんだけれど、惜しいようにも思う。
クライマックスは、そんなカタルシスを求めてたわけじゃないのになあと鼻白む感じだったけど、杏を手渡してからエピローグへの流れは、この小説にふさわしいきれいなまとめ方だった。動いてしゃべる僕僕先生が見たいな、と思わせるには充分な内容でした。後宮小説もアニメ化したんだし、これもやらんかね。
しかし、歴代受賞作を眺めると隔世の感があるなあ。
