電脳コイル #10 カンナの日記

ヤサコは初対面のお兄ちゃんにいきなりキスする大胆な幼女だった。キョウコと全然違うぞ。同じ年くらいのときだったんじゃないの?
なにげに感想サイトを回ってたら、辿る道筋が鍵になって秘密の空間が開くのは「方違え」ではないかという指摘があって興味を引かれた。私はつい、「うる星やつら」のエピソードで、諸星あたるが町内でのぞきやらナンパやらしてまわる順路が偶然悪魔の印章の形に重なって、悪魔が呼び出されてしまうというのがあったとか思い出してたけれど、そっちの方がスジがよさそう。
平安時代の方違えとかの根拠は、広く方位学といわれるもので、日時によって特定の方位が吉方になったり凶方になったりする。つまり東西南北どちらに向かうかで吉凶が変わる。だから例えば孔明で有名な奇門遁甲とかだと、東が凶ならば一旦南西に向かってから北に向かったりする。ベクトルを分解して遠回りする、というのはいかにも方位学っぽい。
別のネタとしては兎歩(うほ)というのも考えた。これは昔の道教の歩行法で、北斗七星だとか特別な形をなぞって独特の足捌きで歩く呪術の一種だ。その形は陰陽道を通って、能や神楽の所作に一部残ってるらしい。こちらは、辿っていく形に意味があるわけだが、そんなに広いところを歩き回るわけではないようで、今回のネタとしてはちょっと違うようだ。

これまで親兄弟の話が全然なかったイサコだけど、おじさんおばさんやお兄ちゃんとか一気に出てくる。イサコのお兄ちゃんがヤサコの4423なのか?で、本当のお兄ちゃんなのかどうかはまだよくわからないけど、そのお兄ちゃんとおじさんには優しいのにおばさんとはケンカ腰の対応と、イサコって徹底して女がキライなんだね。
とりあえず、イサコは先週のミチコさんとか、自分の中にチャージしていってパワーアップしてるらしい。それが臨界量を超えるとどうなるのかはよくわからんがお兄ちゃんがかえってくるらしい。
鍵の謎を解いてカンナの日記を読むのが今回のメインで、ハラケンとヤサコは亡くなったカンナの想いを知ってそれにとらわれる、いわば亡霊にとりつかれることになる。でも、それ以外にもイサコの行く先々をスパイしてるアキラの使い猫とか、ダイチとデンパがヘイクーを追い出されてフリーになることとか、けっこう大きなネタが手際良く提示されて、けっこう後から整理するとびっくりするくらい。やっぱり話の面白さっていうのはこうやって作らないと。
ハラケンは電脳の身体と物理的な身体がズレたりしたけど、大黒市民はみんな電脳の身体を自分の身体に重ねて暮らしてるんだろうか。それだとメガネがなかったら不便なんじゃないだろうか。電脳の身体はインフラで、サービスを利用するかしないかは個人次第ってことなのかな。