CLANNAD #8 黄昏に消える風

ぶわっ……滂沱
風子の影がどんどん薄くなっていく。直接に関わった人たちの記憶からもいつのまにか消えている。
風子の素性に対する疑問を拭えない春原は伊吹先生の妹が入院している病院に確認に行き、そのまま忘れてしまう。その後、割り切れない疑問を忘れ去ってむしろさっぱりした表情で岡崎たちと対面する薄暗いホールのシーンとなるわけだが、そこでは風子のことを思い出させようとする岡崎や渚に対する反応を描かずに、藤林姉妹の描写にうつる。それから、待合室みたいなとこで、じっくりと泣かせが入る。そっから先はもう、まるで死亡フラグな買い物エピソードに、もう風子ちゃんが見えないと泣き崩れる古河母と最後まで涙が止まりません。人は二度死ぬというけれど、忘却という二度目の死を死んでいくさまが情緒たっぷりに描かれていきます。
消えていく記憶は、まるで流れ去る時間のようです。抗うことのできない運命のように、忘れたくないという想いも空しく目の前の風景から風子の形を消していきます。後には、もはや取り戻すこともできない大事なものを自分は失ってしまったという決定的な喪失感だけが残るのです。
あ、ダメだ。見返すたびに泣くわ。