GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO- #6 チベタンテリアの引退

壊れた万華鏡を修理に持ち込んだ先がテロリストの爆弾屋だったり、持ち込んだ女の子も義体の殺し屋だったり。ヘンリエッタが知り合うニノと理事長は立場は逆だけれど、それぞれ多数の犠牲を払って理想を追うことに疲れ、疑問を持っている。でもヘンリエッタに迷いはない。彼女の悩みは壊れた万華鏡だったりリコとのケンカだったり。
義体少女たちはふだん福祉公社の関係者たちの世界にいるから、外の社会の人間とふれあって少女として扱われるようなエピソードはけっこう新鮮に感じる。ニノは住み込みで働いてる職人だし、フランカはぶどう園を持ってるお嬢さまだし、社会のさまざまな階層の人間が社会の中に居場所を持ちながら活動に参加してるのは、社会の中に深い亀裂があることを思わせる。理事長も夫を亡くしてるしね。「解説」じゃなくて「描写」になってる。パダーニャ(五共和国派)が実際どういう政治的主張をしてるのかは作品内では明言されてない。まあ「イタリア北部の分離独立」と解釈して矛盾するようなことは出てこないんだけれど。独自設定としつつも、実在の組織の名前を借りて読者に補完させて、作品内では紛争の経過を描くことに集中する。