狼と香辛料 #6 狼と無言の別れ

「香辛料」は商人なのね。無事タイトルにつながってトレニー銀貨編終了。
ホロが狼の本性を自ら封印していたのは、一度ロレンスに怖がられたのがずっと後を引いていたのでしょうか。生き血を啜るあさましい姿をさらしたくなかったのでしょうか。地下水道の中を追い回されてついに追いつめられた絶体絶命のピンチに、最後の手段としてその本性をさらして敵に襲いかかるホロの心情が伝わってくるのは、きちんとエピソードを重ねてきたからこそです。上半身ハダカで飛び出して来るロレンスの必死ぶりもうまく対応して、よいラブコメになってました。
狼になったホロのシーンは、ホラーな演出に走らずに節度を守ってるあたりがこのお話のポリシーなんだろうな。服の代金にかこつけちゃうツンデレ感覚はわりとよくあるパターンなんで、せっかくこれまでの会話劇で趣向をこらしてきたんだからここは頑張ってオリジナリティを出してほしかった気がする。
ホロが着てる服が、一つずつ買い集めた高価なものだっていうのは、このラストのための伏線だったんですか。でも、そもそもロレンスがなんで女物の服買ってたのかはわかんないんだよな。せっかくキレイな伏線をはったのに無理矢理感が漂っちゃうのはもったいないです。詰めが甘いってことなのかなあ。
あとやっぱり、貨幣改鋳で純度を下げたい王家に対して、旧貨幣を集めることで交渉力を得る設定ってのがよくわからないです。別に旧貨幣を回収しなくても、銀鉱山から採掘した銀とかないのか。他国の貨幣を鋳潰したって銀貨は造れるんじゃないんだろうか。
それに純度の低い新貨幣が出回っても、普通純度の高い旧貨幣は価値が下がることないと思うんだよね。銀貨の価値が銀そのものじゃなくって、貨幣の流通価値とか別の根拠であればそういう状況も設定できなくはないと思うんだけど、そういう状況ならそもそもトレニー王家は銀貨に拘らずに紙幣とか刷ればいいわけだし。