とらドラ! #10 花火

すべてみのりんの壮大な釣りでしたというオチ。
みのりんの場合、ネタを仕込んでおいてひっかかる人をずっと待ってるというよりは、公開してるプロフィールがあくまで世間付き合い用に用意しただけのものだっていうことなんだろうなあ。
最後の花火のシーン。人のいやがることはやらない竜児がなぜわざわざ怖がらせようとしたのかというストレートな問いに、幽霊を見せたかったと答える竜児。この「幽霊」は前日のメタファーである恋愛を指すとも、他人との関わりあうこと一般のポジティブな側面とも、もっと抽象的に諦めかけていた希望の象徴ともとれる。ずっとお化けの話を展開させて「幽霊」の語にいろんな意味を持たせていくことで、メタファーを見る人に非常にわかりやすく示しつつ、イメージを豊かにふくらませていく。
新しいエピソードのたびに印象が深くなる櫛枝のキャラの掘り下げ方もさることながら、独自の思惑で動きつつちゃんと話の展開にからんでくる川嶋亜美の動かし方もうまい。今回は竜児が櫛枝実乃梨に振り回されると同時に川嶋亜美に振り回される話でもある。見たことのない幽霊は信じられないという実乃梨に対して、自分がさみしいかなんて怖くて考えたくない、という亜美は幽霊を見そうでこわいから目をそらしてる。協力をタテにとって答えにくい質問をしてきたり、迷路のような洞窟の中を案内しながら私がいないと困るか、と両義的にとれる質問をしてきたり、亜美ちんはみのりんとは対照的に竜児を追い詰めて揺さぶりをかける。幽霊なんて本当はいないんだ、と言ってもらいたいんだろう。他人との正面からの関わり合いを避けてる点で二人は同類でもあるんだよなあ。
とらドラ!