- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 文庫
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ふーん、一人で平気って、本気で思ってるんだあ?……本来ならあんたみたいな奴こそ、一番祐作のこと許せないっていうか、ムカつくはずだと思うけどねえ……
原作もアニメと基本一緒で、同じように話が展開して同じ結末を迎えます。ただアニメは途中をけっこうはしょってるんですよね。キャラごとの内面心理の変化が重要な「とらドラ!」で、途中のエピソードが抜けるのはけっこうイタイ。特に川嶋亜美絡みのエピソードはごっそり削られてます。だからラストで実乃梨に「罪悪感」と囁くのがやたらと唐突で、見てて混乱しちゃうんです。
引用は川嶋亜美が逢坂大河に言うセリフです。亜美は祐作が甘えてるだけだ、とさんざっぱら毒吐くわけだけれど、考えてみれば天然ぶりっこ仮面で周囲をコントロールしてきた彼女との違いは自覚的か無自覚かという点にあって、好意を都合よく利用してやろうということでは同じなわけです。そんな彼女が北村の件から距離をとりたがったのは、要するに大河と竜児と実乃梨の三者の関係に割り込めないと学園祭のときに気付いてしまったから。北村の件で一緒に動こうとすれば、圏外にいる自分の位置を確認せざるをえないから。
この巻での川嶋亜美は、だから機嫌が悪いし、忠告したりかみついたりとゆれ動いてる。そして最後に「罪悪感」発言がくる。
別にそれまで櫛枝は、ためらったり恥じらったりはしても、罪悪感を感じてる様子はなかったんですよね。そこに「なんでもわかってる」と櫛枝が自分で言っていた川嶋の「罪悪感」がくるから混乱しちゃう。でも、原作読むと逆なんですね。あれはそう言うことで、櫛枝に罪悪感を植え付けたんです。輪の中に入りたいと思う一方で、入れないもどかしさから関係の欺瞞性を批判する。ああ、これでその後の話の展開とのつながりが納得できました。