薬膳火鍋

目の前で煮え立つ古びた鉄鍋には中央にS字形の仕切があり、スープが紅白に分かれている。脳天に突き抜ける刺激臭が立ち上ってくる。得体の知れぬ茸類や野菜が浸って、地獄の釜のごとく煮えたくっていた。
「これは火鍋というものでな」

森見登美彦夜は短し歩けよ乙女」)
ということで、日本橋は天香回味の薬膳火鍋を試してみた。店に足を踏み入れると、たちまち香辛料の刺激的な香りに包まれる。鍋はなにしろ薬膳だから、得体の知れない漢方の素材がいろいろ浸ってる。具材もキャベツやサツマイモはともかく、珍しいキノコが山盛りで小説の中の情景を彷彿させる。出てくる灰汁も漢方のエキスだからとってはいけない、ということで煮立ってくるとなかなかの迫力でなにやら地獄の釜のようにも見える。
スープは紅白どちらも辛いということはなく、白いスープは甘みがあるので好みで辛さを調節できる。辛いだけでない、奥の深い味がしっかりついてるので、タレとか全然なしで素敵においしい。エビやしゃぶしゃぶ用のお肉などもあり、大変に堪能した。
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