けいおん! #13 冬の日!

京アニって最後に番外編つけるの好きだなあと思いながら見たけど、これはたしかに最終回の後につける番外編。唯がムードメイカーとなってまとまってる様子を他の4人の側から描いて、軽音部メンバーの間の絶妙な距離感を表現している。ムギもずいぶんとしっかりして、変わったよなあ。変わらない日常とたしかに流れている時間、12話が唯の成長物語としての「けいおん!」最終回ならこれは想い出となって残る軽音部の物語としての最終回。
メンバーが一人ずつ登場するアバンがなにやら寂しげ。最後に登場する唯だけは憂と二人で、いつもの雰囲気に戻ってほっとしたところでOP。しかしシーンを足のショットでつなぐのが好きなアニメだな。
本編は、部室で唯以外の4人が静かにお茶してるシーンから始まる。セリフもなく、なんとなく空気が重い感じなんだけど、すぐに唯が入ってきて律にからみだす。小ネタの応酬で徐々にいつもの軽音部の雰囲気になってくんだけど、4人はそれぞれ気になってることがある様子。週末に鍋しよう、と唯が言い出してもそれぞれ別々の事情で都合がつかない。ここでムギとあずにゃんは言葉を濁すんですね。ムギは初めてのバイトへの気負いが気恥ずかしかったんでしょう。あずにゃんはネコネタでいじられそうな気がしたからなんでしょうか。アバンでこわごわネコにさわろうとして威嚇されてるあたり、そもそも慣れてないようです。ギター一筋で他のことはけっこう疎い子なのかな。
後半はメンバーそれぞれのエピソードが並行する。BGMなしでちょっとさびしげだけど、それぞれ自分の事情でいっぱいになってて気がつかない。梓とネコの空間的な距離がだんだん縮まってリラックスしていく表現が、初めてバイトする紬の緊張感がしだいにほぐれていく過程とシンクロしているのが面白い。ネコが梓のひざにとびのるとBGMも入ってきて、こちらも息がつけるんだけどそれも束の間、アクシデントでいきなりパニックになる。
一方で澪も律も一人でちょっとさびしくなってるんだけど、左に寄ってぽつんと立ってる律の構図と右に寄ってる澪の構図が対になってるのは面白い。
そこに緊張感のカケラもない唯のおバカなメールがきて、雰囲気が一気に軟化する。物語がいつもの「けいおん!」のペースに向かって流れ出す。常に変化している個々人の内面を抱えつつ成立しているまったりした変わらない日常を描くことで、後から振り返る青春の想い出のような切ない距離感をもたせている。
完璧なシリーズでした。