川上弘美「これでよろしくて?」

これでよろしくて?

これでよろしくて?

世代もさまざまなおばさん達が洋食屋に集まって皿を重ねつつ家族や男女をめぐるさまざまな議題を議論するガールズトーク全開小説、あるいは成熟としてのおばさん。主人公は30代の主婦。並行してヨメシュウトメ問題に揺れたりする主人公の日常が語られたりもする。家族であるとはどういうことか、を通して主人公の成長を描きつつ、描写は一貫して主人公の心情に寄り添い、桜吹雪に消えるおばけのような唐突にファンタジー的なシーンがありつつ、日常への確信に満ちた述懐で終わる。大島弓子の少女マンガみたい。一番の萌えキャラは「ママン」かなあ。
短く的確な表現で、かなりくだけた文体ながら品があり、読み易い。こみいった人間関係を重くせず、諧謔味をもって読ませるのはさすが。