マイマイ新子と千年の魔法

複数の感想サイトで、熱をもって紹介されてるのを見て、とりあえず見てきました。これは見てよかったです。あまりネタバレとか関係ないアニメだと思いますけど、一応分けときます。
マイマイ新子と千年の魔法」感想(ネタバレ)
原作未読なのでどこまでが原作の力なのかはわからないんですけど、多分主人公が遊ぶ空想の世界と、子供たち同士の世界、子供を取り巻く大人を含めた半世紀前の日本の現実と三つの世界が主人公を軸にしてシームレスに重ね合わさってる構図の見事さは原作の力で、それを説得力のある絵にした丁寧なな演出はアニメの功績なんでしょう。執念の考証で千年前の日常を昭和30年代の日常と同じレベルで描いたからこそ成立したアニメですから。
ジブリ出身監督ということで、似通った表現も見られますけど、前作の「アリーテ姫」のような呪縛からは解放されて、子供たちののびのびした動きを見せてくれます。自然描写もキレイですけど、あくまで背景で、こだわって枚数使ったりはしてないと思います。子供の表現では、足の動きとか、特に裸足の使い方とかうまかったと思います。最初つま先立ちで歩いてたキィちゃんが、遊びに夢中になってはだしで泥だらけになってくとことか、その後ショックを受けたときに靴のまま池の中に入ってって、水の入った靴をじゃぼじゃぼさせながら歩いてたりとか、面白い表現でした。
主人公の新子が、空想の世界と大人の世界とそれぞれに裏切られる話なんですよね。空想の世界はしょせんつくりごとで現実の役には立たないし、大人もそれぞれ弱さを抱えていて子供から見た理想を演じきれるわけではない。でも、空想の力は人と人を、それこそ千年の時を越えてでもつなげることもできるし、人は他人の弱さを許すこともできる。女の子ふたりの友情物語であり、和製赤毛のアンでもあり、優れたジュブナイルです。