山本弘「時の果てのフェブラリー」

時の果てのフェブラリー
お勧め度:BBB+

時の果てのフェブラリー―赤方偏移世界 (徳間デュアル文庫)

時の果てのフェブラリー―赤方偏移世界 (徳間デュアル文庫)

時間重力異常地帯の描写はすごい。悪役が、ひとの無知につけこむオカルティストってのも、「と学会」会長らしいというか。でも、なんか出てくる人がみんな結局いい人で、最後は愛が地球を救う話だからねえ。科学に厳しく小説に甘い、という感じでしょうか。「スポット」の謎が解明されると、ストーリーを引っ張ってくベクトルが失速しちゃう感じで、どうも盛り上がらない。異星人とのコミュニケーションのとこが構成上は山場なんだろうけど、常人には理解できないという設定なんでよくわからないままだし。山津波のサスペンスもあるんだけど、本筋と絡まない付けたりになっちゃってるし。自分と同種の存在を知らない孤独にして全知全能の超生命体がいかにして「他者」を認識するのか、というようなことを考え出せばまた別の展開もあったと思うんだけれども。せめて萌えられればねえ。