鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST #54 烈火の先に

これはすごい。シリーズ中でも屈指の名エピソード。
その劫火でエンヴィーを焼き尽くすとき、マスタング大佐の魂も憎悪の炎の中で焼き尽くされる。怒りに我を忘れて暴走する大佐を、ホークアイが、エドワードが身体を張って引きとどめる。ここでヒューズの回想がカットバックで入るのは定番演出だが、説得されていくマスタング大佐の内面とうまくシンクロして、映像に比類ない説得力を与えていた。怒りを乗り越えて復讐の連鎖を止める、というのはよくあるテーマではあるけれど、丹念にエピソードを積み重ね、ひとつのテーマを様々な角度からなんども繰り返し描いてきたからこそ、見る人を引き込み、ここまで説得力をもたせることができた。だからこそ、ただ憎しみを煽るだけのエンヴィーがこの上なく哀れで卑小な存在に見える。原作で読んだ時もすごいと思ったけれど、アニメにしてますますすごくなった。
今週はこれでもまだ半分。スロウスと互角に殴り合うアームストロングのエクセレントアンドエレガントな筋肉、自分を殺しに来た兵隊を逆に部下として掌握、まとめてしまうオリヴィエ、と見せ場をつくって最後は、決めゼリフもカッコよく真打ち登場とばかりにイズミがブリッグズ兵を引き連れて登場する。なんか一番おいしいとこを便所サンダルにもってかれたねえ。
で、エンディングテーマが流れる中で、ホーエンハイムと「お父様」が静かに対面する。えっと、何年ぶりの対面になるのかね。
先週からの引き、原作だと話の途中で、むしろエンヴィーを引っ掛けるセリフの方に気がひかれちゃうんだけど、ホークアイマスタングに銃を突きつけるとこで切ったことで、いろんな想像を見る側に掻き立てて、うまいとこで切ったなあと感心しました。