劇場アニメの憂鬱

 たしかに『宇宙ショーへようこそ!』には視覚的なギミックで、物語の進行に直接関係しないっていうものが多いのは認める。お祭りのシーンもそうだし、「宇宙ショー」それ自体も見た目はハデだけど、放送コンテンツとして、何をやってるかいまいちよくわかんないしね。
でも、この余剰みたいなものに感じる「宇宙」のリアリティもあるんじゃないかな。たとえば、各種ブログでも、実はいらなかったんじゃないか説が流れまくりの、例のバイトシーンとかですが、ああいうシーケンスがあることで初めて、宇宙人の生活や日常ってものを感じることができるんじゃないだろうか。例えば、僕は周があの宇宙人達のベビーシッターするシーンがすごく好きでしてね。ああいうカットで、宇宙人たちを物語に奉仕する人形ではなくて、宇宙という異世界で暮らす「人」として生き生きと描き出してるなって感じがするんです。

宇宙ショーの第一印象は、とにかく物見遊山な宇宙旅行を楽しんだという感じで、懐かしい漫画映画じみた見せ物なんだけど、妙に説得力のある雰囲気、においを感じました。お話はストレートな子供達の冒険譚なんだけど、わかりやすい一本筋のプロットの裏側に、ペットスターの秘密をめぐる因縁とか大きな話が絡んでいて、そちらの方は親切な説明とかいっさいされていない。それだからなにか肝心なところをとばされたような物足りなさを感じたんです。
つい先週風ギラレタばかりの「借りぐらしのアリエッティ」も似たようなところがあります。やはり、小人の世界というものを実感させる説得力のたしかさは見事なものでした。でも、お話の方は肩すかしのように淡々としたもので、はぐらかされたような気がしました。
こことは違う、架空の世界の日常を実感させる圧倒的な描写力はすごいんだけど、大きなドラマを描ききれないというところなんでしょうか。
参考:宇宙ショーへようこそ宇宙ショーへようこそ - ねこまくら
借りぐらしのアリエッティ借りぐらしのアリエッティ - ねこまくら