ピーター・トライアス「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」

第二次大戦で枢軸側が勝利し、アメリカが日本とドイツに分割統治されてる世界で、日本統治下のアメリカーユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンを舞台に巨大メカが大暴れ!みたいな宣伝もウソはついてないけど、メカ同士の格闘戦とかもあるけど、そういう期待では読まない方がいいと思う。基本的にはディストピア小説で、戦争文学です。女癖が悪くていいかげんな天才プログラマーと、陛下を侮辱するやつは誰でもぶっ殺す特高警察の女性が、非合法ゲームの作者を探してヤバい橋を渡りまくります。大日本帝国軍事独裁社会で、ファナティックな天皇主義者と残虐なキリスト教ゲリラが戦ってる設定はかなりダークだし、悪趣味でグロテスクな描写も沢山あります。巨大メカパイロットの母子のキャラが清涼剤、かな。殺伐とした話だけど、最後のエピローグまで読むと、小説を一本読了した満足感が得られます。そういえば沈黙の艦隊のラストもこんな感じだったっけ。
やたらと出てくるよくわからない、アメリカナイズされた日本料理?みたいな妙なメニューとか、細かいとこで凝ってるとこが、「もう一つの日本」の生々しさを出してたりして、なかなか気持ち悪いので読んでみるといいです。