波津彬子「ふるぎぬや文様帳」

主人公は小さな事務所で働くインテリアコーディネーターの女性。祖母が残した着物が縁で、古着を扱う店と関わりを持つことになるのだけれど、その店はどうやら人ならざるものの世界に属しているらしい。
人の世界と人ならざるものの世界のあわいに迷い込んだ不思議な物語は作者の得意とする分野で、愛嬌のある化けものが可愛いのはいつも通り。雨柳堂夢咄の雨柳堂はあくまで人間のお店だったけど、「ふるぎぬや」は人間ではないもの達のお店のようで、これまでお化け関係とは無縁で暮らしていた主人公が振り回されることになる。まあ、誰かの想いのこもった着物が、ふるぎぬやに集まって来て、想いを遂げるという展開は一緒なんだけれど。
現代の日本が舞台、ということで、作者のシリーズ物としては珍しい。着物着てる人がいっぱい出てくるけど、まあ着物屋さんの話だから。そもそもいわくのある着物を集めてたお祖母さんの謎、というのがずっと引っ張られてて、まだ「謎」部分を出し切ってない感じもあるので、まだ続くみたい。
ふるぎぬや紋様帳 1 (フラワーコミックススペシャル)
雨柳堂夢咄 其ノ十六 (Nemuki+コミックス)