ヨナス・ヨナソン「国を救った数学少女」

国を救った数学少女

国を救った数学少女

南アフリカの貧民街出身の天才数学少女ノンベコは、屎尿処理施設で働いていたところ、奇妙な経緯から南アとイスラエルが絡む極秘の核開発プロジェクトに関わり合うことになる。政治情勢の変動からプロジェクトが破棄されたとき、ノンベコは身の危険を感じて逃げ出すことにした。そして無事スウェーデンに逃げ込むのだが、なぜか、原爆1基が付いて来ちゃったことに気がついたのだった。真面目な顔して大ボラを吹くという類の小説。結構長い。昔だったら井上ひさしとか、北杜夫とか、小林信彦とかがこういうの書いてたけど、最近日本では見かけない。ラノベかマンガに行っちゃったんだろうなあ。小説ピタゴラスイッチというか、ドミノ倒しというか、奇想天外な設計図を引いといて、スイッチを入れるとあとはトタタタタと「意外な展開」が走ってくのに見惚れるという、そんな感じ。
どこか抜けてるモサドのスパイとか、古美術品の贋作造りが好きな中国人三姉妹とか、衝動的な革命家のカップルとか、ヘンな人達がいっぱい出て来ます。スウェーデン国王とか、首相とか、胡錦濤とか、実在の政治家も、それぞれ結構活躍します。特にスウェーデン国王と首相のキャラは、スウェーデンの人ならわかるギャグらしいけど、とりあえずなんか可愛いおじさんたちです。