響け!ユーフォニアム2 #10 ほうかごオブリガート

見たら末代まで祟られるぞ。

誰よりも全国大会に出たかった田中あすかは、自分の気持ちを抑え込み、平静を装って綺麗に手際よく吹部を引退しようとしている。周囲の説得に耳を貸さない頑とした拒絶は、弱みを見せない鉄壁の防御だけれど、黄前久美子を家に呼んだのが自分に許した最後の未練だったのだろう。そのほとんど遺言のような演奏を聴いてしまった久美子は、意を決してあすか先輩に向かって大会出場を説得しようとするけれど、理屈で叶うわけもなく、逆襲されてしまう。
むき出しの感情をぶつけるデカリボンの先輩は苦手だし、みぞれと希美の問題では距離をとって傍観してるだけだったし、久美子はずっと周囲との人間関係をそうやって築いてきたんだろうけれど、ここで背中を押したのはお姉ちゃんの一言だった。
「みんなが待ってる」からじゃない、「私が聴きたい」んだ、「私が一緒に吹きたい」んだ。ストレートに感情をぶつけられたあすかは思わず無防備な表情を晒す。お父さんに演奏を聴かせたいという想いをなんで無かったことにできるんだ、と畳み掛けられて、防壁は一気に決壊する。
やばい、涙出てきた。
それこそ1期からずっと、久美子は困ったような苦笑いのような微妙な表情で、自分の感情を直截的に表現するのが不得手で、うまく口に出せないモヤモヤを溜めてしまうんだけど、ここぞというところで迸らせたナマの言葉が相手にストレートに伝わったんだ。
あんたも後悔ないようにね、というお姉ちゃんの去り際の一言は象徴的に使われるけど、久美子に敢えて一歩を踏み込ませたのは、いつしか疎遠になっていたお姉ちゃんを再び身近に感じたことで改めて湧き起こった寂しさの念であり、それは疎遠のままに過ごした時間に対する後悔であったのだろう。それが号泣するほどの悲しみであったからこそ、夢中であすかに叫ぶことができたのだろう。
お姉ちゃんが過去の自分への後悔を話しながら、コゲコゲになった鍋を洗ってるのは、過去の失敗にきっぱりとケリをつけようとしてることの暗喩なんだよね。これまでスネまくってたお姉ちゃんが、またえらく建設的になったのは驚いたけど、まあイロイロあったんだよね、きっと。
あと、あれだけ動揺させられてなおキャラがぶれないあすか先輩、素敵すぎです。末代まで祟られるぞとか、もう今年のベストワンでしょ。それが、模試の件で先生が呼んでると聞いてスッとマジになるとことか、最後の伏線になってるんですよね。もう神がかってるとしか。
しかし、今度は高坂麗奈がなんか不穏な表情で、なかなか練習に集中させてくれないみたい。