白井カイウ・出水ぽすか「約束のネバーランド」

森に囲まれた洋館グレイスフィールド・ハウスでは、11歳までの38人の孤児たちと、子供たちを世話する「ママ」が一人、みんな仲良く幸せな毎日を送っている、そう思っていた。しかし、エマとノーラは或る日真実に気づいてしまった。私たちは「ママ」に騙されている。このままここにいれば確実に殺される。見たことのないバケモノのエサにされてしまうのだ。1日でも早く逃げなければならない。しかし、「外」の状況は何もわからない。何しろ人間を食料にする得体の知れないバケモノのいる世界である。「知っている」ことに気づかれないように準備しなければならない。しかし、「ママ」は何重にも監視の網を張りめぐらして、罠を仕掛けている。何をどこまで知られているのか、お互い知らないふりをしながらの駆け引きが続く。さらに、エマは全員での脱出を譲らない。3歳以下の幼児が16人もいて、できるのか?
ハードルを上げるだけ上げて、知略を尽くした緊迫の心理戦となる。ジャンプで心理戦といえば「デスノート」だけど、こちらはまた違ったアプローチで戦ってる。「デスノート」は、特殊なルールを設定して、そのルールをいかに活用するかがポイントになる作りで、ロジックの詰め合いになるから、どうしてもそのロジックがえらく複雑になる。本作は、小さな手がかりからいかに情報を引き出すか、相手の出方をいかに読み合うか、そしてキャラごとの思惑が交錯する中で、誰とどんな取引をするか、相手をいかに誘導するか、という駆け引きが重なり合う。なので状況はかなり複雑だけれど、個々の戦術はそれほど複雑でないので、複雑なロジックの塊が出てくるわけではない。
まだあちこち伏線を張りまくってる段階で、先が読めないけど、とにかくむちゃくちゃ続きが気になる。
絵はカバー絵とかのイラストが印象的。最近の流行りとは違う絵柄だけど、どこかバタ臭い表情が、荒木飛呂彦の影響?を思わせる。