3月のライオン #21 経る時/春が来る #22 もうひとつの家/三月町の子

最終回は2話連続放送1時間スペシャル。ひなちゃんの受験から高校入学まで。憧れの相手だったタカハシ君が四国の高校に入学すると知って、ショックを受ける。それは初恋の相手だからというより、祖母や両親、いつまでもいると思っていた周りの人が突然居なくなる寂しさを思い出してしまったから。でも、零ちゃんのように突然身近に現れる人も居る。出会いと別れとか、季節にふさわしくまとまりました。
一方で零ちゃんの方は、他人の作った枠の中で精一杯合わせて生きてきたので、自分の中の「正しさ」を信じて握りしめるひなちゃんがとても眩しかったのです。
「もうひとつの家」のエピソードは原作だともう少し後に出てきます。桐山零の、義理を果たしにきました的な実家訪問を母の視点で描いたエピソードです。圧倒的な能力の差を間近で見せつけられて壊れていく我が子を見る母親の視点であり、零を通して初めて夫の少年時代に思い至る奥さんの視点でもあるというところが、ミソです。
とにかく1期同様原作の忠実なアニメ化に徹していて、二重三重に重なるモノローグや、技法の限りを尽くして、コマに稠密に詰め込んだ1シーンを解きほぐし、時系列に並べ直してアニメにするという贅沢な作りを貫いてます。