朝井まかて「グッドバイ」

グッドバイ

グッドバイ

幕末から明治にかけて活躍した長崎の女商人大浦慶の生涯を描いた歴史小説。長崎でも屈指の油問屋の娘として生まれた慶は、斜陽になっていく家業の再興を図り、日本茶の輸出に活路を見出す。違法な抜け荷から始めて独力で販路を開拓、大貿易商へと駆け上がる。
地回りの安い油に押されて衰退しつつあった家業の油問屋の先行きを見据えて、慶は海外との交易を考える。誰からも取り合ってもらえない中、蘭語を自習し、無手勝流で販路を開拓していく。何もかも初めてで勝手もわからないまま、試行錯誤を繰り返し、イギリス商人と渡り合い、信頼を勝ち取っていく。商売上の動乱と幕末の動乱とも絡み合って、グイグイ読ませる。
主人公が実在の人物で、wikipediaとか見れば分かるけれど大火で焼失した家業を再興し、茶貿易で財を成し、詐欺事件で没落し、そこから再起を図る、と波乱の人生をおくった女傑だ。キャラとしても痛快で、娘時代から最後までブレない。
高浜寛「ニュクスの角灯」にも登場する。明治初期の長崎で舶来品の雑貨屋を舞台にしたマンガで、こちらもオススメ。
ニュクスの角灯 (1) (SPコミックス)

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