新選組!

芹沢鴨暗殺。
なにも信じられる物などない、と言っていたお梅が、芹沢に「俺の墓に入れ」と言われて素直に喜ぶシーンがよかった。鴨のこの一言でお梅は死ぬことになったわけなんだけれども。死を前にした二人が紅葉狩りにでかける綺麗なシーンは、「俺たちに明日はない」のボニーとクライドとか思い出しましたけれども。来るはずもないとわかってる未来を語り合ったりとか、泣かせの定番ではあるけれど、ジンとしてしまいます。最後の二刀流といい、芹沢鴨は最後までカッコよかった。
痣を残した沖田の暗殺隊参加は、父殺しというような文脈にのっかって、それはいいんだけれど最初の回で見せた、返り血を気にする無邪気な沖田とはつながらなくなってしまう気も。「俺を喰らって鬼になれ」と挑発されて決意を固める近藤勇は、香取慎吾の眉間のしわだけで表現するのはちょっとつらかったような。近藤勇香取慎吾が肚を固める説得力のあるせりふはなにより、トシに向かって言う「お前に浪士組の行く末託した」だったはず。
意外に敵に情けをかける山南と、戦い慣れてる左之助の対比とか、これまでのキャラの積み重ねの上での修羅場で見せる表情の細かい書き分けが楽しかった。原田は斉藤一と対峙したときも、躊躇わずに槍を構えて、相手が刀を納めるとなんのわだかまりもなく破顔する。命のやりとりに思い入れがない。屋内の戦いとみるや槍を短くしたりと、職業としての戦士という感じ。対して山南は理屈に行動がときどき追いつけない。仲間殺しを躊躇ったのか、刀の穢れと思ったのかはわからないけど、戦意を喪失した敵にトドメを刺せなかった。このあたりが後につながってくんだろうなあ。