ハウルの動く城

id:herecy8:20041212 あれだけ書いてまだ書き足りないのかと思われるでしょうが、ハウルの動く城 徹底ガイド―ハウルとソフィー ふたりの約束 とかつい買っちゃったもんだから。絵が見たかったんだけど、鈴木敏夫やアニメスタッフのインタビューもけっこうたっぷりあってお買い得でした。養老孟司はイラナイけど。ちょっとキャッチーなことを言ってみせても、結局当たり障りのないフツーの話にまとめちゃうというマスコミ文化人の典型だし。
そんなことより青木光恵が「宮前監督初の男性美系キャラ」と書いてて、おおと納得してしまいました。いわゆる宮崎アニメをつらつらと思い返すと、特に古いファンは「On Your Mark」みたいな男の子が女の子を助ける話が典型的パターンなようについ思うんだけれど、コナン、カリ城ラピュタくらいまでであとは少女主人公が続くんだよなあ。トトロと紅豚はちょっとおいとくとして、ナウシカもののけは強い女の子が強い女性と戦う話で、男の子を助ける話ではなかった。むしろコナンやカリ城のパターンの方が、男の子のピンチを女の子が助けるエピソードが効果的に入ってくるんだよね。男の子が女の子を助ける大枠の中で、相互に助け合うという形で対等であるという描き方になって、まあよくあるパターンな分おさまりがいい。女の子が強くなると、男は圧倒されて振り回されるようになって、話の中にうまくおさまってくれない。クシャナとかエボシとか女のカタキ役が立っちゃう。神隠しだと、千の戦いをハクが手助けする形で、物語の筋としては千がハクを助けて、最後に救うんだけれども、でもハクの方が年上だし対等にはなってない。魔女宅のキキとトンボくらいかな。同じ年頃の対等な関係で、後半だけだけど「キキがトンボを助ける」物語でうまくおさまってる。
ハウルはものすごい魔法使いなんだけれど、ただのヘタレでもある。ソフィーは別に強い女の子というわけではないんだけれど、別にハウルを頼るわけでもないし対等につきあってる。魔法は使えないけれど、カルシファーをおだてたりすかしたりして魔法を使わせたりすることはできる。ハウルがソフィーを助けることはあんまりなくて、むしろトラブルを引き起こしてるし、結局ソフィーがハウルを助けることになる、それでハウルはちゃんとキャラが立ってるし話はうまくおさまってる。つまりこれがアニメにおける、少女を主人公にした冒険譚の、一つの完成型なんだ。
一番印象的なシーンはやはり少年ハウルが出てくる幻想的な流星のシーンでしょうか。美貌とか天賦の才とか、なんか歩いてて流れ星に当たったのと同じようなもんだというような含みをもたせつつ、でもとんでもなく美しい。
帽子屋で居心地悪そうにしてたソフィーは老婆になったとたん世界に馴染んで切り盛りをはじめる。城の中を掃除しまくるシーンも好きでした。城の外観に恥じない内装と、城を取り巻く絶景。ソフィーが世界の輝く美しさを感じた瞬間。