アニメ調査室第8回2008年春調査

http://anime-research.seesaa.net/article/90448988.html
もう結果発表されててものすごく今さらですが、ようやくまとめたので。

調査票

2008春調査(2008/1-3月期、終了アニメ、46+6作品)

01,もっけ,F
02,のらみみ,F
03,AYAKASHI,x
04,しおんの王,x
05,狼と香辛料,B
06,破天荒遊戯,x
07,墓場鬼太郎,A
08,true tears,x
09,BLUE DRAGON,x
10,レンタルマギカ,F
11,アイシールド21,x
12,灼眼のシャナII,x
13,ハヤテのごとく!,B
14,Yes!プリキュア5,x
15,デルトラクエスト,x
16,バンブーブレード,x
17,ロビーとケロビー,B
18,賭博堕天録カイジ,x
19,メイプルストーリー,x
20,素敵探偵ラビリンス,x
21,魔人探偵脳噛ネウロ,x
22,君が主で執事が俺で,x
23,機動戦士ガンダム00,E
24,CLANNAD -クラナド-,B
25,キミキス pure rouge,F
26,神霊狩/GHOST HOUND,x
27,ロザリオとバンパイア,x
28,俗・さよなら絶望先生,A
29,ARIA The ORIGINATION,S
30,獣神演武 -HERO TALES-,x
31,さぁイコー!たまごっち,x
32,爆丸バトルブローラーズ,x
33,BUS GAMER(ビズゲーマー),x
34,エレキング The Animation,x
35,流星のロックマン トライブ,x
36,ファイテンション・スクール,x
37,H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-,x
38,逮捕しちゃうぞ フルスロットル,x
39,ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-,x
40,GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-,B
41,遊戯王 デュエルモンスターズ GX,x
42,おねがいマイメロディ すっきり♪,B
43,ハローキティ りんごの森とパラレルタウン,x
44,古代王者 恐竜キング Dキッズアドベンチャー,x
45,ウエルベールの物語 -Sisters of Wellber-第二部,x
46,ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ,x

(以下、注意)
47,みなみけ-おかわり-(1-3月、アスリード版),x
48,みなみけ+みなみけ-おかわり-(通期26話),x
49,彩雲国物語(2期、NHKBS),x
50,やっとかめ探偵団(打ち切り),x
51,もえがく★5(打ち切り),x

(どちらか、1つのみに記入し、もう一方は、xと回答して下さい)
52,結界師(全52話),x
53,結界師(打ち切り39話),x
54,シゴフミ(全12話),x
55,シゴフミ(全11話、第6話中止),x

(再調査、3作品)
04-14,彩雲国物語(1期、地上波),x
04-35,シルクロード少年 ユート(地上波),x
04-37,オーバン・スターレーサーズ(NHKBS),x





{追加評価}(自由記入、過去参加者のみ)

{総評、寸評など}(自由記入、引用する場合あり)

狼と香辛料

センスのいいラブラブ珍道中モノ。日常や生活感の豊かな描写が二人が歩き回る世界に説得力をつけた。ツンデレにしろ素直クールにしろ、計算で気をひくというのとは正反対のタイプが人気になる中でここまで手管に長けて、それでいてかわいいヒロインというのは貴重なんじゃないだろうか。耳としっぽで感情表現できる強みを活かしたよいアニメ化でした。ただせっかく商人の話なんだから、経済から世界を描写するエピソードにこだわってほしかった。ロレンスがなんで取引に武具を選んだのかとか、なんで武具が暴落したのかとかそんなとこからチラリと世界をかいま見させてくれるだけでもずいぶん違うんだが。

墓場鬼太郎

それにしてもねずみ男のビンタはうまくアニメにしたなあ。
日常も非日常も地続きで、身も蓋もない話が多いんだけど妙に暢気だったりする水木しげるの世界を描くことでは成功したと言える。最終回が「アホな男」なのも、制作意図がはっきりして面白い。後半、吸血鬼エリートとかブリガドーンとか大ネタをぶちこんでせわしなくなっちゃったのが惜しい。

ハヤテのごとく!

よくも悪くも深夜34時アニメといわれたネタっぷりが突出してたけど、脇キャラもしっかり掘り下げて1年シリーズならではの広がりを作れてたと思う。執事大戦は正直微妙だったけど。KOTOKOの主題歌はえらく耳に残った。油断するといつも頭の中で無限ループ再生が始まる。

おねがいマイメロディ すっきり♪

尺が短くなったために、話を広げつつ斜め上に暴走していくマイメロの醍醐味が薄くなって物足りない感じだったシリーズだけれど、最後はマイメロらしいマイメロだった。前二シリーズは琴野歌を巡る小暮駆と柊恵一の三角関係が基本にあって、そこにクロミや潤が絡む構造だったから地球とマリーランドの危機でも地球を救うことと柊先輩を救うことを重ねて、歌を主人公にできた。でも歌は駆とくっついちゃったし、柊恵一はマイメロクロミにはさまれていじられキャラになっちゃったし、クライマックスで一番盛り上がってたのは負け犬チームだし。なんだか自己パロディ化しかかってた。でも終わってみれば妄執の権化となったダー子の救いを描けたことでむしろ一番余韻のある終わり方だった。4期は30分に戻るし、こんな長寿番組になるとは思いませんでしたよ。

ロビーとケロビー

人気があったのかなかったのかよくわからなかったけど、けっこうブッとんだ回も多くて面白かったと思う。ロビーが全く反省しないしデスダーは理不尽にいじめられっぱなしとか、フォローがないのも潔い。

CLANNAD -クラナド-

作画レベルは安定してるし、特に構図からタイミングから力の入りまくった演出で光った回も多く、さすが京アニクオリティってとこだけど、話そのものはまとまりのないオムニバスって感じ。「CLANNADは人生」とまでいわれたその真価は結局よくわからないままだった。高橋留美子をデビューから追っかけた人間にとって「めぞん一刻」が「特別」になるような、ファンが特別思い入れるような作品ってことなんだろうか。

機動戦士ガンダム00

いくら伏線はりまくっても今思いついたようにしか聞こえないし、ドラマも説得力もあったもんじゃないな。それまでのスーパーロボットを軍隊の兵器として捉え直したのがガンダムの最初だったことを考えると、秘密基地の博士が率いるスーパーロボット路線になってしまったのは隔世の感がある。戯画化された世界観には今さらいちいち突っ込まない。でもなにより問題だったのは、敵側のキャラばかりが立ちまくって主人公サイドの影が薄かったこと。1クールでセルゲイ主人公、とかだったらよかったんじゃね?作画レベル的には高位安定してたしバトルアクションは密度も濃くって楽しめました。

俗・さよなら絶望先生

前期にも倍して新房アニメ全開だった。やりたい放題いじくり倒して大胆な実験的演出がこれだけ炸裂しててもちゃんと「絶望先生」になってるのは原作の枠組がそもそも設定だけだからなんだろう。毎回いろいろあって、とにかく楽しかった。でもやっぱり画面の文字が読みにくいのはつらい。

ARIA The ORIGINATION

ARIAのテーマは人から人へと伝わっていくメッセージ=想い、ということで街並も運河もまたそれを作った人や使っている人住んでいる人の想いがこめられたものとして描かれる。だから四季様々な風景を見せても、人の手の入らないような自然は出てこない。これまでのシリーズは灯里が案内役で、取り巻くまわりの人たちを見せていったけれど、今期は灯里自身の物語に入っていってアリシアさんからアリアカンパニーを受け継ぐことで思いを伝えていくところまでを描いた。灯里たちが変わっていくことで、逆に変わらずにそこにあるものを浮かび上がらせた。
アリスの昇格から後の盛り上がりはすごかったです。終わらせ方も完璧でした。

GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO-

結局ピノッキオの話だった。個別の各エピソードは面白かったんだけど、作画がぜんぜんついてってなかったなあ。
自分はなにからなにまで偽物だ、というトリエラは自分自身の抱く感情を信じられない。自分の中にある「感情」を持て余し、戸惑っていたトリエラが初めて自分自身の真実だと信じられたのが「ピノッキオを倒したい」という感情だった。クリスティアーノもまた、自分の中にあるはずもない「ピノッキオへの愛情」を見つけて困惑する。フランコは、テロを目的化して失いつつあった動機の純粋さを取り戻すために、ピノッキオを助けに行く。ピノッキオを取り巻くキャラクターたちは、彼によって自分自身の感情を再発見することになる。
一方ピノッキオは自分の感情を「克服すべき弱み」として抱え込んでいる。ピノッキオにはクリスティアーノのために働きたいという気持ちと、殺人への抵抗感との間に葛藤がある。ピノッキオは初めての暗殺現場で殺した目撃者の女の子のことをずっと引きずっていた。その女の子に向けて引き金を引いたときが、ピノッキオが殺人マシーンとなることを選択した瞬間であり、逆に言えば銃口の先の少女の顔はピノッキオにとってのもう一つの別の可能性の象徴ということになる。つまりピノッキオは自身の意志による選択が可能であり、そして選択した。彼にとってクリスティアーノへの愛情は疑い様のない感情であり、銃を少女に向けることへのためらいは捨てたはずの選択肢である。
だからピノッキオが殺され、クリスティアーノフランコたちもピノッキオのために死んでいくラストは、見失った「感情」を生命を賭けて取り戻すという物語としてまとめていることになる。おかげで、エピローグのフラテッロの好意を盲目的に貪る義体少女の子供っぽさが薄っぺらく見えてしまっていた。原作に対する悪意を感じさせる構成でした。原作も構想がシフトしてまとめあぐねてたりするのかもしれない、と思ってしまった。